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起業に向けて勉強しとこ 日本の戦略「成長戦略実行計画」議論編 2

はじめに

以下で書いた日本成長戦略の続きです。

www.donokamoto.info

 経済産業省産業構造審議会 成長戦略部会で上記で課題として挙げられている「日本企業のマークアップ率の向上」「既存企業とスタートアップとの協働」「パイオニア企業を集中支援するという新たな産業政策」について偉い人達の討議内容を見つけましたので、今回はその第二回目の内容について勉強したいと思います。

https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seicho_senryaku/pdf/002_gijiroku.pdf

「日本企業のマークアップ率の向上」について

以下各委員の発言内容を私なりに要約したものです。

 ユニゾン・キャピタル株式会社 代表取締役   林委員

・日本の社会において、「企業はいいものを安く提供するのが価値である」という信念が長い間、かつ広範囲に渡って染みついている。その社会の価値観は過去 20 年の経済停滞期において所得が下がってきた中でも変わっていない。

・例えば、フランスのブランド企業は、高く売るのが価値と考え、それがファンを生み出すというサイクルがある。これはブランド・ものづくりへの社会の捉え方の問題でもあり、単に日本の企業に対してマークアップ率が低い点だけを取り出して言ってみても、高める方向に動かす起点として十分なのかどうか疑問。

・一方、高く売るやり方には色々ある。例えばタピオカミルクティー。原価は安いが六百何十円で売っている。飲み物だけでなく容器を持ち歩くのがファッションで、それをSNSに上げて共有することまでを含めて一つの商品という捉え方で、値段は正当化されている。「使い方のイノベーション」ないしは「捉え方のイノベーション」まで含めると、実はもっとマークアップをとっていく余地が転がっているのではないか。

 学習院大学 教授 伊藤委員

マークアップ率を高くできる理由は2つ。1つは、ヨーロッパブランドのような高付加価値。もう1つは、かけたコストに対してスケールエコノミー的なものを享受できる余地がいっぱいあるケース。

・日本のマークアップ率が低い理由は2つ。1つは、ヨーロッパブランドの例に反して利益率が非常に低いところでビジネスをやっている、もう1つは、これ以上拡大してもなかなか収益を上げられないようなプロダクトサイクルのステージ「どつぼ」にはまっている。この二つを分けて対策を考えなければならない。

・日本の政策的に考えると、急速に発展ステージにある領域に、うまく幾つかの産業なり会社なりの存在をサポートして、それを成長させていくかという事を考えるのが重要。

南部産業構造課長

日本精工やHOYA等のマークアップが高い、あるいは大企業であればキヤノンソニーが高いということがあるが、共通していえるのは、ニッチトップ。シェアが高ければ価格支配力があるという事。

自動車産業は世界的には高くなく、FordやGMは1倍を切っていて、ヨーロッパのフォルクスワーゲンアウディBMWダイムラーといった企業も高くない。BtoCで競争の激しい産業では世界的にマークアップ率は下がってきている。

・実はGAFAのマークアップ率はバラバラ。グーグルの親会社は高いが、アマゾンは1倍ぐらいしかない。意図的にマークアップを低く抑え、シェアの拡大、ビジネスチャンスを広げていく局面を重視していると推測する。

 学習院大学 教授 伊藤委員

・企業は培われてきたノウハウを、忠実に毎日やっていくことで利益が出る。何故ディズニーランドが儲かっているかというと、ディズニーランドだから。ミッキーマウスは変わりなくいつもいい奴。でも、彼をヒールにしてみたらどうなるかということがイノベーション。日本の企業が悩んでいるのは、それをやる勇気が出ない点。今それなりの利益を上げていて、動かしたら何が起こるかわからない。

アメリカの凄いのは、20 年前、30 年前無かったようなグーグルやアマゾンが出てきてそれをやる。多分その中の鍵になるのは、企業とか資金もあるが、それ以上に人材。

・日本の GDPこの20 年ほとんど変化していない。中国は2000 年は 1.3 兆ドルだったのが今は 13 兆ドル。アジアの諸国も非常にチャンス。日本のマーケットだけでやろうとすると、ハツカネズミにならないと生き残れない事になる可能性大。アジアでどういうふうにビジネスを広げていけるか。同じことをやっていても、相手がどういうマーケットかということは非常に大きな意味がある。

KDDI株式会社社長   高橋委員代理 岩木氏

・例えば、通信会社の場合、提供している通信ネットワークというのは、どこの会社が提供しても大差ない。ここにブランドとか付加価値をつけようとしても難しい。なので、色々なベンチャーとかパートナーと組んで、付加価値を提供することによってマークアップ率を上げていくような事を考えている。大企業は、往々にして成熟産業である一方、インフラなり資産は持っているので、そこをベースに、新しい付加価値を作る視点で考えていく必要がある。

 「既存企業とスタートアップとの協働」について

READYFOR株式会社 代表取締役CEO   米良委員

・大企業経営者は、新しい価値を作っていくためにベンチャーと組みたいと思っているが、現場がついてこないとか、PLにつながっていない等の理由で、打ち切りとなってしまうケースが多い。オープンイノベーションを促進するには、政府が、そういった取り組みをした事に対し、ポジティブにフィードバックをしていくということが大事。

・短期で成長するような事業には、金が動いていると思うが、時間がかかる社会課題解決事業というところには資金が流れていない。その領域に関わっていく事に、認証とかサポートするという取り組みが必要。

ユニゾン・キャピタル株式会社 代表取締役   林委員

・業界を変えていくようなベンチャーの人たちをかなり大きなスケールで後押しするというようなことが社会全体としては構想されるべき。大企業の世界の外で大半のベンチャーが失敗していく中で、成功した人たちを大きなスケールで取り込んでいく道筋がつけられれば、社会全体として大きくマークアップ率を上げていくことにつながるのでは。

・スタートアップがある程度のスケールまで成功したという段階で、次のグロースキャピタルを数十億円とか百億円の単位で出せるような機能が存在しない。大企業といきなり繋ぐと、時間軸が違うとか成功軸が違うとか、難しい構造的な要因もある。もう少し次のフェーズの成長までを自力でやっていく事を支えられる外のお金というものが必要では。

株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ 仮屋薗委員

シリコンバレーというのは、太い大樹のような形で、どんどん枝葉のところの企業群を吸収して新製品の開発だったりプロダクトラインナップを広げていった。日本では、ITのみならずさまざまな産業で業界再編が進まない。業界の収益性、拡張性を行っていくために、再編というものは欠かさざるべきもの。それを行っていくリーダーシップに光をあてる事は重要。

 

まとめ

この議論から起業アイデアを得る事は難しかったですが、起業を成功させる為に気を付けた方が良い事が3つわかりました。1.マークアップ率の低い業態で起業しない事 2.日本市場以外での成長も視野に入れられる事業内容である事 3.大企業との協業は慎重に検討する事。

あと、社会として、どつぼにはまっている大企業よりも、イノベーションを起こすベンチャー企業/起業家への期待が高まっている事を再認識しました。非常に厳しい時勢になりつつありますが、こういう時こそチャンスがあると考え、起業に向けて準備をしていきたいと思いました。